薬局で薬を受け取るとき、薬剤師から「先発品にしますか?ジェネリックにしますか?」と聞かれたことがある方は多いでしょう。
そのとき、もし 先発品を選んだ場合にかかる可能性があるのが『選定療養費』 です。
初めて聞く方にとっては「え?薬代以外にお金がかかるの?」と驚くかもしれません。
この記事では、薬局で先発品を選んだときに知っておくべき選定療養費の仕組みを、できるだけ分かりやすく解説します。
選定療養費とは?
選定療養費(せんていりょうようひ)とは、保険診療と保険外診療を組み合わせる場合に、自己負担となる部分の費用 のことです。
医療保険では通常、保険が適用される範囲の診療は3割(または1〜2割)の自己負担で済みます。
しかし、患者さんの希望で 「より高価なもの」や「追加のサービス」を選んだ場合、その差額は保険の対象外となり、全額自己負担になります。
薬の場合、ジェネリック(後発医薬品)があるにもかかわらず、患者さんの希望で先発品を選ぶと差額が発生することがあります。
この差額が「選定療養費」として請求される仕組みです。
なぜ選定療養費があるの?
医療保険制度では、同じ有効成分・同じ効果の薬であれば、より安価な薬を使うことで医療費全体を抑えることが目的とされています。
ジェネリックは先発品と比べて価格が安いため、国としてはジェネリックの使用を推進しています。
そのため、患者さんがあえて高額な先発品を希望する場合は、その差額を自分で負担する「選定療養」という形がとられるのです。
これにより、医療費の公平性と持続可能性を確保しています。
どんなときに請求されるの?
選定療養費が発生するケースは薬局や自治体によって異なりますが、一般的には以下のような場合です。
- ジェネリックが存在する薬で、先発品を選んだとき
- 医師から特別な理由(アレルギーや効果の違い)がなく、純粋に希望で先発品を選ぶ場合。
- 薬局が選定療養費の制度を導入しているとき
- 全ての薬局で発生するわけではなく、薬局ごとの運用によります。
- 健康保険組合などが独自に定めている場合
- 保険者によっては、制度として先発品選択時の差額負担を明確にしています。
選定療養費の金額は?
金額は薬局によって異なり、数十円〜数百円程度 のことが多いです。
あくまで薬代そのものの差額ではなく、「制度上の自己負担分」として設定されます。
そのため、実際にいくらかかるのかは薬局で事前に確認することが大切です。
注意点と上手な付き合い方
- 必ず事前に確認する
- 「先発品にしますか?」と聞かれたら、「選定療養費はかかりますか?」と薬剤師に聞いてみましょう。
- ジェネリックとの違いを理解する
- 成分・効果は基本的に同じですが、添加物や剤形、味、見た目などが異なることがあります。
- 特別な理由がある場合は医師に相談
- アレルギーや過去の副作用経験がある場合は、医師から先発品を指定してもらえば、選定療養費は発生しないことがあります。
まとめ
選定療養費は、「同じ効果のある薬なら安いものを使って医療費を節約しよう」という国の制度の一部です。
ただし、薬の選択はあくまで患者さんの自由。
先発品を選ぶ場合は、選定療養費がかかる可能性があることを理解したうえで、自分に合った薬を選ぶことが大切です。
初めて薬局で先発品を選ぶときは、金額や理由をしっかり確認して、納得したうえで決めましょう。
コメント