薬をもらうために毎回薬局へ足を運ぶのは、体調が優れないときや忙しいときには大変な負担です。近年、日本でも「薬を家に届けてもらう」仕組みが広がっており、在宅医療や薬局の配送サービス、さらには2024年7月に始まった Amazonファーマシー によって、薬の受け取り方は大きく変わろうとしています。ここでは、その仕組みとメリット、注意点をわかりやすく解説します。
在宅医療と薬の宅配サービス
高齢者や寝たきりの方、通院が困難な患者さんを対象に、医師や薬剤師が自宅を訪問する 在宅医療・在宅薬剤管理指導 が以前から行われています。薬剤師は患者さんの自宅で薬を渡し、服薬方法を説明し、飲み忘れがないか確認する役割を担います。
さらに、近年では地域薬局が独自に 薬の宅配サービス を提供するケースも増えています。特に一包化された薬(飲む時間ごとに袋に分けられた薬)や、定期的に必要な慢性疾患の薬を自宅に届けることで、患者さんや家族の負担が大きく減っています。
Amazonファーマシーとは?
2024年7月23日、Amazonは日本で Amazonファーマシー のサービスを正式に開始しました。これは米国に続く展開で、日本国内では大きな話題を呼んでいます。
Amazonファーマシーは、Amazonが薬局を直接運営するのではなく、全国の薬局と提携して処方薬を利用者に届ける プラットフォーム の役割を果たしています。
サービスの流れ
- 電子処方箋を取得
医療機関から電子処方箋を発行してもらいます。紙の処方箋しか出ない場合は、対応薬局に直接持参が必要です。 - Amazonアプリから薬局を選ぶ
提携薬局(開始時点で約2,500店舗、アイン薬局・ウエルシア薬局・クオール薬局など大手も含む)から希望の薬局を選択できます。 - オンライン服薬指導を受ける
ビデオ通話を通じて薬剤師から服薬指導を受けます。これは法律で義務付けられているため、必須のプロセスです。 - 薬を受け取る
- 自宅配送(通常600円前後の送料)
- 薬局店舗での受け取り
いずれかを選べます。
これにより、病院に行ったあと薬局で長く待つ必要がなくなり、時間も体力も節約できます。
Amazonファーマシーのメリット
- 薬局での待ち時間ゼロ
診察後すぐ帰宅でき、薬は自宅に届くため、特に体調が悪いときに安心です。 - 選べる薬局
提携薬局は全国に広がりつつあり、今後さらに増える見込みです。 - オンラインで完結
スマホだけで予約・服薬指導・配送まで行えるので、忙しい人にも便利。
注意点
- 電子処方箋が必須
全ての病院が対応しているわけではありません。対応可能な医療機関を選ぶ必要があります。 - 送料がかかる
多くの薬局では600円前後(税別)の配送料がかかります。対面受け取りなら無料の場合もあります。 - 急ぎの薬には不向き
配送には時間がかかるため、すぐに薬が必要な場合は直接薬局へ行ったほうが早いです。
今後の広がり
Amazonファーマシーはまだ始まったばかりのサービスですが、すでに多くの薬局が参加しており、今後はより多くの地域で利用可能になると期待されています。また、地域の小規模薬局でも同様の「オンライン服薬指導+宅配」の仕組みを導入するケースが増えてきています。
将来的には、病院から薬の受け取りまでが完全にオンライン化され、薬の配送が当たり前の選択肢になるでしょう。
まとめ
薬を家に届けてもらえる仕組みは、在宅医療や地域薬局の宅配サービスに加えて、Amazonファーマシーの登場によって一気に身近になりました。
- 体調が悪いときに薬局で待たなくてよい
- 忙しい人もスマホひとつで薬を受け取れる
- 在宅医療が必要な人にとっても負担が減る
こうしたサービスを上手に活用することで、薬の受け取り方はもっと便利で安心なものになります。
コメント