リード文
「この前もらった薬が残っているし、同じ症状だから使っちゃおうかな?」
──そんな経験、ありませんか?
でも実は、家族や他人の薬を使うことはとても危険なんです。
この記事では薬剤師の立場から、「なぜいけないのか」「どうすればいいのか」をわかりやすくお伝えします。
(※本記事は一般的な情報をもとにした内容です。実際の服用に関しては、必ず医師や薬剤師の指示を優先してください。)
なぜ家族や他人の薬を使ってはいけないの?
理由①:同じ症状でも原因が違うことがある
「咳」や「頭痛」など、同じように見える症状でも、原因は人によって異なります。
例えば、咳の場合は風邪、喘息、肺炎、アレルギーなどさまざま。
原因が違うのに他人の薬を使うと、症状を悪化させるおそれがあります。
理由②:体質や持病、他の薬によって合わないことがある
薬は人によって合う・合わないがあり、
- 肝臓や腎臓の働き
- 持病の有無
- 他に飲んでいる薬との相互作用(薬どうしの悪い組み合わせ)
 によって、副作用が強く出ることがあります。
「同じ薬を飲んでも平気だった人がいるから」と安心するのは危険です。
理由③:用量や飲み方が人によって違う
薬は年齢・体重・症状の重さに合わせて、量や回数が細かく調整されています。
家族だからといって同じ量を飲むと、効きすぎたり、全く効かなかったりすることもあります。
理由④:副作用が出ても「救済制度」を受けられない可能性がある
日本には「医薬品副作用被害救済制度(PMDA)」という、
薬の副作用で健康被害を受けた人を支援する制度があります。
しかし、この制度が適用されるのは、医師の処方や薬剤師の指導のもとで正しく使った場合のみ。
家族や他人の薬を自己判断で使って副作用が出ても、
救済の対象外になることがあります。
つまり、万が一体に影響が出ても、公的な補償が受けられないリスクがあるのです。
よくある「やってしまいがち」なケース
- 家族が以前もらった風邪薬や抗生物質を飲む
- 自分の塗り薬を家族の湿疹に使う
- 友人から「これ効いたよ」と睡眠薬や痛み止めをもらう
こうした行為は、医師の診断や薬剤師のチェックを飛ばしているため、非常に危険です。
安全に薬を使うためのポイント
- ✅ 症状が出たら、必ず医師・薬剤師に相談する
- ✅ 残った薬は自己判断で使わず、薬局に相談して廃棄する
- ✅ 家族それぞれの薬袋に名前を書いて管理する
- ✅ 家族の薬を共通の引き出しに入れない(取り違え防止)
- ✅ 副作用や疑問があれば、すぐ薬剤師に確認する
薬剤師からのひとこと
薬は「体に直接入る医療行為」と同じくらい大切なもの。
一人ひとりに合わせた処方と使い方が必要です。
「もったいない」「同じ薬みたいだから大丈夫」と思う気持ちは理解できますが、
安全のためには必ず医師・薬剤師の確認を受けましょう。
まとめ
- 家族や他人の薬を使うのはNG
- 同じ症状でも原因や体質が違う
- 間違って使うと副作用や悪化のリスクがある
- 自己判断で使うと救済制度の対象外になることも
- 迷ったら、薬剤師に相談を!
 
  
  
  
  

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