近年、日本でも「緊急避妊薬(アフターピル)」を処方箋なしで薬局から購入できる仕組みが動き出しています。これまで、望まない妊娠を防ぐために必要だった薬が病院やクリニックでしか手に入らなかったため、受診のハードルや時間の制約が課題となっていました。今回は、薬局で購入できる緊急避妊薬について、仕組みや使い方、注意点をわかりやすく解説します。
緊急避妊薬(アフターピル)とは?
緊急避妊薬は、避妊に失敗した、避妊できなかった場合に、性行為後72時間以内に服用することで妊娠の可能性を下げる薬です。日本で一般的に使われているのは「レボノルゲストレル錠」で、1錠を1回服用するだけのシンプルなタイプです。早ければ早いほど効果が高く、24時間以内に服用すると最も効果的とされています。
これまでの入手方法と課題
これまでは医療機関で医師の診察を受けてから処方してもらう必要がありました。しかし、
- 受診時間が限られている
- 休日や夜間だと対応できる医療機関が少ない
- 費用が高額(1万円前後が一般的)
といった課題があり、必要な時にすぐ手に入れられないことが問題となっていました。
薬局での販売が始まる背景
こうした課題を受け、厚生労働省は2023年から一部の薬局で「モデル事業」として、薬剤師によるカウンセリングのもとで緊急避妊薬を販売する仕組みを導入しました。これにより、医師の処方箋がなくても、薬剤師が適切に説明し、服用者の体調やリスクを確認した上で販売できるようになっています。
将来的には全国の薬局での販売が広がる可能性がありますが、現時点では参加薬局は限られており、利用するには事前に対応薬局を調べておく必要があります。
薬局で購入するときの流れ
- 薬局に相談
対象の薬局に行き、緊急避妊薬を希望する旨を伝えます。
対象の薬局を検索できるサイト https://www.pharmacy-ec-trial.jp/ - 薬剤師によるカウンセリング
服用のタイミング、副作用の可能性、既往歴(持病や他の薬との飲み合わせ)などについて説明を受けます。 - 購入・服用
説明に同意した上で薬を購入し、すぐに服用します。
※一部薬局では事前予約や電話相談が必要な場合があります。
副作用について
緊急避妊薬は比較的安全性が高い薬ですが、副作用がゼロではありません。代表的なものは、
- 吐き気
- 頭痛
- 倦怠感
- 月経周期の変化(一時的に早まる・遅れる)
です。強い症状が出ることは稀ですが、もし服用後に体調が悪化した場合は医療機関を受診してください。
費用の目安
薬局での販売価格はまだ統一されていませんが、医療機関で処方される場合と同様に、数千円から1万円前後が一般的です。保険適用はなく、全額自己負担となります。
注意点と限界
緊急避妊薬は「避妊に失敗した時の最終手段」であり、通常の避妊法の代わりにはなりません。また、性感染症(STI)を防ぐ効果もありません。日常的にはコンドームや低用量ピルなど、より安定した避妊方法を選ぶことが大切です。
まとめ
- 緊急避妊薬は性行為後72時間以内に服用することで妊娠の可能性を減らす薬
- これまでは病院でしか入手できなかったが、一部薬局でも販売が始まっている
- 薬剤師によるカウンセリングを受けたうえで購入可能
- 副作用や価格についても理解しておくことが大切
- あくまで「緊急用」であり、普段の避妊法とは区別して考える必要がある
必要なときにすぐにアクセスできる仕組みが広がることは、多くの人にとって安心につながります。正しい知識を持ち、冷静に選択できるよう準備しておきましょう。
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