「熱が下がったし、もう薬いらないかな?」
──そんなふうに、抗生物質を途中でやめてしまったことはありませんか?
実は、抗生物質は症状が落ち着いても最後まで飲みきることがとても大切なんです。
この記事では薬剤師の立場から、
「なぜ飲みきらなければいけないのか」「途中でやめるとどうなるのか」をわかりやすく解説します。
(※本記事は一般的な情報です。実際の服用については必ず医師・薬剤師の指示を優先してください。)
抗生物質とは?どんな薬なの?
抗生物質(こうせいぶっしつ)は、細菌(ばい菌)を殺したり増えにくくしたりする薬です。( クラリスロマイシン セフカペンピボキシル アモキシシリン etc…)
風邪やインフルエンザなどのウイルス感染症には効かないものの、
喉の炎症・中耳炎・膀胱炎・肺炎など、細菌が原因の感染症ではとても大切な薬です。
なぜ抗生物質は「飲みきる」必要があるの?
理由①:体の中にまだ細菌が残っているから
症状が良くなっても、体の中にはまだ少し細菌が残っていることがあります。
途中で薬をやめると、残った細菌がまた増えて再発してしまうことがあります。
つまり、「治ったように見えるだけ」で、本当は戦いが終わっていないのです。
理由②:途中でやめると“耐性菌”ができる
抗生物質を中途半端にやめてしまうと、
中途半端に生き残った細菌が、薬に強い菌(耐性菌)に変わってしまうことがあります。
この耐性菌は、同じ薬では効かなくなってしまうため、
次に感染したときに治療が難しくなる可能性があります。
世界中でこの「耐性菌」が問題になっており、WHO(世界保健機関)でも警鐘を鳴らしています。
飲みきらなかったときに起こるトラブル
- 症状がぶり返す(再発)
- 同じ薬が効かなくなる(耐性菌)
- 治療期間が長引く
- 医療費が増える
もうほぼ治ったし、「あと1~2回くらい残しても平気」と思っても、
その“少しの油断”が、後から大きな影響を及ぼすことがあります。
飲み忘れてしまったときは?
- 思い出したらできるだけ早く1回分を服用する
- 次の服用時間が近い場合は、1回分だけにして2回分まとめて飲まない
- 飲み忘れが続いたら、薬剤師や医師に相談
「自己判断で再開・中止」せず、必ず専門家に相談してください。
日常でできる工夫
- 飲む時間を決めてスマホのアラームを設定する
- 飲んだらカレンダーやメモにチェックをつける
- 旅行や外出時も忘れず持ち歩く
小さな工夫が、しっかり飲みきるための大きな助けになります。
薬剤師からのひとこと
抗生物質は「症状を抑える薬」ではなく、「原因となる菌を退治する薬」です。
症状が軽くなっても、菌との戦いはまだ終わっていないと考えてください。
飲みきることが、自分の体を守るだけでなく、次の感染症治療を守ることにもつながります。
もし不安や副作用があれば、我慢せず薬剤師に相談してくださいね。
まとめ
- 抗生物質は症状が治っても最後まで飲みきることが大切
- 途中でやめると再発・耐性菌の原因になる
- 飲み忘れたら早めに1回分だけ服用し、迷ったら薬剤師へ相談
- 飲みきることが、自分と未来の治療を守る第一歩
 
  
  
  
  
コメント