「漢方薬の味が苦手で、飲むのが毎回つらい……」
「口に入れた瞬間の独特なにおいが無理」
「体のために続けたいけれど、どうしても飲めない」
漢方薬を飲んでいる方から、このような相談を受けることがあります。
漢方薬には、生薬特有の苦味や香りがあります。
「ちょっと苦いけど飲める」という方もいれば、味やにおいを生理的に受け付けられないと感じる方もいます。
薬だからといって、毎回つらい思いをしながら無理に飲み続ける必要はありません。
実は、漢方薬には飲み方を少し工夫するだけで、味やにおいを感じにくくする方法があります。
この記事では、株式会社ツムラやクラシエが紹介している方法を参考に、漢方薬を少しでも飲みやすくする具体的な方法を薬剤師が解説します。
- そもそも、なぜ漢方薬は独特の味やにおいがするの?
- 「まずいけど我慢して飲む」だけが方法ではありません
- 方法①「先に水を口に含んでから漢方薬を入れる」
- 方法②「オブラート」で包む
- 方法③「服薬ゼリー」を使う
- 方法④「お湯に溶かして飲む」は向いている人・向いていない人がいる
- 方法⑤「水または白湯」を基本にする
- 漢方薬を飲む水の量はどのくらい?
- 「漢方薬を口に入れてから水を飲む」より、先に水を入れてみる
- それでも「においが無理」な人はどうする?
- 「漢方を変える」「剤形を変える」という選択肢もある
- 「漢方を割る・噛む」のは自己判断しない
- 子どもの漢方は「甘いものに混ぜればOK」とは限らない
- 漢方薬を飲むタイミングも確認しよう
- 「飲み忘れたから2回分」はNG
- こんな場合は「飲み方の相談」をして大丈夫です
- まとめ|漢方の味やにおいが無理なら、我慢せず方法を変えてみよう
そもそも、なぜ漢方薬は独特の味やにおいがするの?
漢方薬は、複数の生薬を組み合わせて作られています。
生薬とは、植物などを薬として利用できるように加工したものです。
たとえば、ショウガ、シナモンの原料となる桂皮、甘草など、さまざまな生薬が使われています。
そのため漢方薬には、
- 苦い
- 甘い
- 辛い
- 独特の香りがする
- 土っぽいような風味がある
など、それぞれ特徴的な味や香りがあります。
漢方薬によって味や香りが違うのは、こうした生薬の組み合わせが関係しています。
そのため、
「漢方薬は全部苦い」わけではありませんが、独特の風味を持つものが多い
と考えるとよいでしょう。
「まずいけど我慢して飲む」だけが方法ではありません
漢方薬を処方されると、
「薬なんだから、まずくても我慢して飲まないと……」
と思ってしまうかもしれません。
もちろん、処方された薬を指示どおり服用することは大切です。
しかし、毎回飲むことが苦痛になってしまい、
「今日は飲みたくない」
「この味を考えるだけで嫌になる」
となってしまうのであれば、飲み方を工夫してみる価値があります。
薬は、続けて飲めることも大切だからです。
ツムラやクラシエも、漢方薬を飲みやすくする方法として、水を先に口に含む方法やオブラートなどを紹介しています。
方法①「先に水を口に含んでから漢方薬を入れる」
まず試してほしいのが、漢方薬を口に入れる前に水を口に含む方法です。
これはツムラとクラシエの両方が紹介している方法です。
やり方はとても簡単です。
具体的なやり方
- コップに水または白湯を用意する
- 口の中に水を含む
- その水の上に漢方薬を入れる
- 水と漢方薬を一緒に飲み込む
- 最後にもう一度水を飲む
ポイントは、漢方薬を先に舌へ直接乗せないことです。
漢方薬の粉が舌に触れる時間を短くできるため、味やにおいを感じにくくなることがあります。
「漢方薬を口に入れた瞬間に苦味が広がるのが嫌」という方は、まずこの方法を試してみるとよいでしょう。
方法②「オブラート」で包む
漢方薬の味がどうしても苦手な方には、オブラートも選択肢になります。
ツムラでは、漢方薬をオブラートに包んで服用する方法も紹介しています。
オブラートを使うメリットは、漢方薬が舌に直接触れにくくなることです。
ツムラが紹介しているオブラートの使い方
ツムラの資料では、薬をオブラートに入れて包み、水の入った容器に入れて少し揺らし、ゼリー状になったところを水と一緒に飲み込む方法が紹介されています。
ポイントは、オブラートをそのまま口の中に入れるのではなく、水でゼリー状にしてから飲むことです。
「粉が口に広がる感じが苦手」という方には、試しやすい方法です。
ただし、漢方薬の量が多い場合は、一度に無理に包もうとすると大きくなって飲みにくくなることがあります。
その場合は、分けて包む方法もあります。
方法③「服薬ゼリー」を使う
「オブラートでも無理」という場合には、服薬ゼリーも選択肢です。
クラシエでは、子どもが漢方薬を飲みにくい場合の方法として、服薬ゼリーなどに混ぜて飲む方法を紹介しています。味がついた服薬ゼリーもあります。
服薬ゼリーを使うと、漢方薬が舌に直接触れにくくなるため、味を感じにくくなることがあります。
特に、
- 子ども
- 粉薬が苦手な方
- むせやすくない範囲で、粉薬を飲み込むのが苦手な方
などには使いやすい方法です。
ただし、どの漢方薬でも好きな食品や飲料に混ぜてよいという意味ではありません。
使用する商品や方法については、薬剤師に確認しましょう。
方法④「お湯に溶かして飲む」は向いている人・向いていない人がいる
漢方薬は「お湯に溶かして飲むもの」というイメージがある方も多いと思います。
実際、ツムラの一般用漢方薬では「水またはお湯」で服用する製品が多くあります。
ただし、ここには少し注意が必要です。
お湯に溶かすことで、漢方薬の香りがより感じやすくなる場合があります。
そのため、
「漢方の香りが好き」という方には飲みやすい方法でも、「漢方のにおいが生理的に無理」という方には逆効果になることがあります。
「お湯に溶かして飲んでみたけれど、においが強くて無理だった」という場合は、無理に続けなくても大丈夫です。
水で飲む方法や、オブラートなど別の方法を薬剤師に相談してみましょう。
方法⑤「水または白湯」を基本にする
漢方薬の味を隠したいからといって、
「ジュースで飲めばいいのでは?」
「牛乳なら苦味がわからなそう」
「お茶なら飲みやすそう」
と考える方もいると思います。
しかし、これは自己判断で行わないほうが安心です。
クラシエでは、漢方薬は原則として水または白湯で服用し、濃いお茶、ジュース、牛乳、アルカリイオン水などは薬の吸収に影響して効果に影響することがあるため避けるよう案内しています。
そのため、
「味を隠すためにジュースに混ぜる」よりも、「まず水または白湯で飲みやすくする方法を試す」
ことをおすすめします。
どうしても別の飲み物や食品と一緒に飲みたい場合は、薬剤師に確認しましょう。
漢方薬を飲む水の量はどのくらい?
クラシエでは、漢方薬を飲むときの水またはぬるま湯は、コップ1杯程度、目安として100~200mL程度と案内しています。
もちろん、飲み込みやすさには個人差があります。
「少し多めの水のほうが飲みやすい」
という方もいれば、
「水が多いとむせそうになる」
という方もいます。
無理に一気飲みする必要はありません。
自分が安全に飲める量で、薬をきちんと飲み込めるようにしましょう。
「漢方薬を口に入れてから水を飲む」より、先に水を入れてみる
漢方薬が苦手な方におすすめしたいのが、この違いです。
一般的な飲み方
漢方薬を口に入れる
↓
苦味・香りを感じる
↓
水を飲む
この方法だと、漢方薬が舌に直接触れます。
苦手な方におすすめの方法
先に水を口に含む
↓
漢方薬を水の上に入れる
↓
水と一緒に飲み込む
↓
もう一度水を飲む
この方法なら、漢方薬が舌に直接触れる時間を短くできます。
ツムラやクラシエも、この方法を飲みやすくする工夫として紹介しています。
それでも「においが無理」な人はどうする?
ここが一番大切です。
味ではなく、漢方薬の袋を開けたときのにおいそのものが苦手という方もいます。
この場合は、単純に「水で流し込めば大丈夫」とはいかないことがあります。
そんなときは、次の順番で試してみるとよいでしょう。
ステップ1:先に水を口に含む
漢方薬を舌に直接乗せないようにします。
ステップ2:オブラートを試す
においと味が直接口に広がるのを防ぎます。
ステップ3:服薬ゼリーを検討する
特に粉薬の舌触りが苦手な方に向いています。
ステップ4:薬剤師に相談する
「何をやっても無理」という場合は、無理に我慢する必要はありません。
「この漢方薬の味とにおいが本当に苦手です」
と、そのまま伝えてください。
「漢方を変える」「剤形を変える」という選択肢もある
漢方薬にはさまざまな種類があり、製品によって剤形も異なります。
漢方薬の中には、顆粒だけでなく錠剤などの製品もあります。
そのため、処方されている漢方薬によっては、医師に相談して別の剤形や別の処方を検討できる場合があります。
もちろん、自己判断で変更することはできません。
しかし、
「この漢方薬が飲めなくて困っています」
と医師に伝えることには意味があります。
薬を飲めないことを我慢して隠すより、正直に相談したほうが、続けやすい治療方法を一緒に考えてもらえる可能性があります。
「漢方を割る・噛む」のは自己判断しない
漢方薬には錠剤タイプもあります。
「錠剤なら割れば飲みやすいのでは?」
と思うかもしれません。
クラシエでは、漢方薬の錠剤を割って飲むことについて、薬の働きへの影響だけでなく、割った部分で口や喉を傷つける可能性、漢方特有の味を感じやすくなること、割った後は吸湿しやすくなることなどに注意しています。
そのため、「割れば飲める」と自己判断するのではなく、薬剤師に確認しましょう。
子どもの漢方は「甘いものに混ぜればOK」とは限らない
子どもが漢方薬を嫌がる場合、保護者の方は特に悩むと思います。
クラシエでは、乳幼児への服用方法の具体例として、水あめや薬局の蜂蜜、お湯に溶かして砂糖を少し加える方法、オブラートなどを紹介しています。
ただし、1歳未満の乳児には蜂蜜を与えてはいけません。
また、子どもの年齢や薬の種類によって適した方法は変わります。
「この漢方を何に混ぜたら飲んでくれますか?」
と、薬を持って薬剤師に相談するのがおすすめです。
漢方薬を飲むタイミングも確認しよう
漢方薬は「食前」や「食間」に服用するよう指示されることがあります。
クラシエでは、一般的な目安として、
食前:食事の30分~1時間前
食間:食事と食事の間で、食後2時間程度
と説明しています。
ただし、薬によって用法は異なります。
「食前って朝ごはんの直前?」
「食間って食事中?」
と迷った場合は、処方された薬袋の指示を確認し、わからなければ薬剤師に聞きましょう。
「飲み忘れたから2回分」はNG
漢方薬も薬なので、
「朝の分を忘れたから、昼に2回分飲もう」
という自己判断は避けてください。
クラシエも、飲み忘れた場合に2回分を一度に飲まないよう案内しています。
飲み忘れた場合の対応は、薬の種類や次の服用時間によって変わることがあります。
迷ったときは薬剤師に確認しましょう。
こんな場合は「飲み方の相談」をして大丈夫です
次のような場合は、ぜひ薬剤師に相談してください。
- 漢方薬のにおいだけで気持ち悪くなる
- 苦味が強くて飲めない
- 粉が舌に残る感じが苦手
- 子どもが毎回吐き出してしまう
- オブラートを使っても飲めない
- 服薬ゼリーを使いたい
- ジュースやヨーグルトに混ぜていいか知りたい
- 錠剤を割って飲みたい
- 漢方薬そのものを変更できるか相談したい
「こんなことで相談していいのかな?」と思う必要はありません。
薬をきちんと続けるための相談も、薬剤師の大切な仕事です。
まとめ|漢方の味やにおいが無理なら、我慢せず方法を変えてみよう
漢方薬には、生薬特有の苦味や香りがあります。
そのため、「味が苦手」「においが生理的に無理」と感じる方がいてもおかしくありません。
まず試しやすいのは、
①先に水や白湯を口に含んでから漢方薬を入れる
②オブラートに包む
③服薬ゼリーを検討する
といった方法です。ツムラやクラシエも、こうした飲み方を紹介しています。
一方で、味を隠すためにジュースやお茶、牛乳などに自己判断で混ぜるのはおすすめできません。基本は水または白湯で服用し、別のものと一緒に飲みたい場合は薬剤師に確認しましょう。
そして、何をしても飲めない場合は、
「この漢方がどうしても飲めません」
と医師や薬剤師に伝えてください。
飲み方の工夫だけでなく、剤形や処方について相談できる場合もあります。
漢方薬だからといって、毎回つらい思いをして我慢する必要はありません。
無理なく続けられる方法を一緒に探すことも、薬物治療では大切です。
薬の服用方法については、自己判断で変更せず、医師や薬剤師から受けた指示を優先してください。


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