「病院から薬局に処方箋をFAXしておきますか?」
病院を受診したとき、こんな案内を受けたことはありませんか?
「FAXを送ると何がいいの?」
「FAXを送ったら薬をすぐ受け取れるの?」
「処方箋そのものを持って行かなくてもいいの?」
初めて利用する方にとっては、少し分かりにくいですよね。
実は、病院から薬局へ処方箋の情報を事前にFAXしておくことで、薬局側があらかじめ調剤の準備を進められるため、来局してからの待ち時間を短くできる場合があります。
今回は、病院から薬局へ処方箋をFAXするメリットや、FAXを送った後の流れについて、薬剤師がやさしく解説します。
病院から薬局へ処方箋をFAXするのはなぜ?
一番大きなメリットは、
「薬局に着いてからの待ち時間を短くできる可能性がある」
ことです。
通常、病院を受診した後は、
病院で診察
↓
処方箋を受け取る
↓
薬局へ行く
↓
薬剤師が処方箋を確認
↓
薬を準備
↓
服薬説明
↓
薬を受け取る
という流れになります。
薬の種類が少なければ、それほど時間がかからないこともあります。
しかし、薬の種類が多かったり、薬局が混雑していたりすると、薬ができるまで時間がかかる場合があります。
そこで、病院から薬局へ処方箋の情報をFAXで送っておくと、薬局側が来局前に内容を確認し、調剤の準備を進められる場合があります。
厚生労働省も、紙の処方箋の情報を事前にFAXすることで、薬局での待ち時間短縮につながると案内しています。
FAXを送ると薬局では何をしている?
「FAXが届いたら、薬剤師が薬を全部作っておいてくれるの?」
と思うかもしれません。
薬局では、届いた処方箋の情報を確認し、必要な薬の準備などを進めます。
例えば、
・薬の在庫を確認する
・処方内容を確認する
・必要な薬を集める
・一包化などの準備を進める
・必要に応じて処方医への確認事項を整理する
といった準備ができます。
そのため、患者さんが薬局に到着してからすべてを始めるよりも、受け取りまでの時間を短くできる場合があります。
「FAXしたら薬がすぐ受け取れる」は少し違う
ここは注意したいポイントです。
処方箋をFAXしたからといって、
「薬局に行けば必ずすぐ薬がもらえる」
というわけではありません。
薬の在庫状況や処方内容、薬局の混雑状況などによって、時間がかかる場合があります。
また、FAXはあくまで処方内容を事前に薬局へ伝えるためのものです。
紙の処方箋の場合、患者さんが薬局へ行く際には、原本の処方箋を持参する必要があります。
厚生労働省も、紙の処方箋を事前にFAXした場合は、薬局に処方箋の原本を持参する必要があると説明しています。
FAXだけで薬はもらえる?
基本的に、紙の処方箋の場合はFAXだけでは完結しません。
例えば、
病院
↓
処方箋を薬局へFAX
↓
薬局が事前準備
↓
患者さんが薬局へ行く
↓
処方箋の原本を提出
↓
薬剤師が確認
↓
服薬指導
↓
薬を受け取る
という流れになります。
つまり、
「FAX=処方箋の原本を薬局へ提出した」
ということではありません。
ここを勘違いしないようにしましょう。
FAXを送っておくと便利なのはこんな人
特にFAXの事前送信が便利なのは、
・薬の種類が多い人
・一包化を利用している人
・薬局が混雑する時間帯に行く人
・仕事や育児などで待ち時間を短くしたい人
・病院から薬局まで距離がある人
・子どもを連れて薬局へ行く人
などです。
例えば、小さな子どもを連れて病院を受診した場合。
診察が終わった後、薬局で30分以上待つのは大変ですよね。
病院から薬局へ処方箋をFAXしておけば、薬局に着くまでに準備が進んでいる可能性があります。
子育て中の方にとっても、便利な仕組みです。
薬が薬局にない場合にもメリットがある
FAXのメリットは、待ち時間だけではありません。
処方箋の内容を事前に確認できるため、薬局に在庫がない薬が含まれていた場合などに、薬局側が対応を検討しやすくなります。
例えば、
「この薬が薬局にない」
ということが来局してから分かると、患者さんはその場で長く待つことになってしまう可能性があります。
事前に処方内容を確認できれば、必要に応じて薬の取り寄せなどの準備を進められる場合があります。
ただし、実際の対応は薬局によって異なります。
薬局はどこでもいい?
患者さんには、処方箋を持って行く薬局を選ぶ権利があります。
「病院の近くの薬局に行かなければいけない」
とは限りません。
自宅の近くや職場の近く、いつも利用している薬局など、自分が利用しやすい薬局を選ぶことができます。
病院からFAXを送る場合も、希望する薬局を伝えましょう。
なお、病院によってFAXの送信方法や利用できるサービスが異なる場合があります。
電子処方箋ならFAXはどうなる?
最近は「電子処方箋」という仕組みも広がっています。
電子処方箋は、紙の処方箋を電子化して扱う仕組みです。
電子処方箋に対応した医療機関・薬局では、処方情報を電子処方箋管理サービスから確認できます。
紙の処方箋とは違い、電子処方箋では原本そのものを患者さんが薬局へ持って行く必要がありません。
ただし、
「電子処方箋なら自動的に薬局へ届いて、何もしなくても薬が準備される」
というわけではありません。
厚生労働省によると、電子処方箋の場合も、患者さんが薬局で受付をする必要があります。
一方で、来局前に引換番号や必要な情報を電話・FAX・アプリなどで薬局に伝えることで、薬局側が電子処方箋を確認し、事前に調剤を開始できる場合があります。
そのため、薬局での待ち時間短縮につながることがあります。
紙の処方箋と電子処方箋の違い
簡単に整理すると、次のようになります。
【紙の処方箋】
病院で処方箋を受け取る
↓
必要に応じて薬局へFAX
↓
薬局が事前準備
↓
薬局へ原本を持参
↓
薬を受け取る
【電子処方箋】
医療機関で電子処方箋を発行
↓
薬局で受付
↓
薬局が電子処方箋を確認
↓
調剤
↓
薬を受け取る
さらに、来局前に引換番号などを薬局へ伝えておくことで、電子処方箋の原本を薬局側が確認し、事前に調剤を開始できる場合があります。
FAXを送ったあとに薬局へ行くのを忘れない
処方箋をFAXしたことで、
「薬局にはもう行かなくてもいい」
と思ってしまうのはNGです。
紙の処方箋の場合は、原本を薬局へ持参する必要があります。
また、処方箋には原則として有効期間があります。
通常は、交付の日を含めて4日以内です。
「FAXを送ったから来週取りに行けばいい」
というわけではありません。
薬を受け取る予定がある場合は、早めに薬局へ行きましょう。
こんな使い方がおすすめ
例えば、病院から自宅近くの薬局へ帰る場合。
病院
↓
診察終了
↓
「この薬局にFAXをお願いします」
↓
薬局へ処方箋情報を送信
↓
自宅へ向かう
↓
薬局から準備ができた連絡
↓
薬局へ行く
↓
原本を提出
↓
服薬説明
↓
薬を受け取る
このように利用できれば、薬局での待ち時間を短くできる可能性があります。
ただし、薬局によっては「FAXが届いてから○時間以内」など独自の運用をしている場合もあります。
利用する薬局に確認しておくと安心です。
FAXを送るときに気をつけたいこと
FAXを利用するときは、薬局名やFAX番号を間違えないことが大切です。
病院のFAXコーナーなどを利用する場合は、案内に従って送信しましょう。
また、薬局によってはFAXを受け付ける時間や方法が決まっている場合があります。
不安な場合は、事前に薬局へ電話して、
「病院から処方箋をFAXしてもらいたいのですが、大丈夫ですか?」
と確認しておくと安心です。
まとめ
病院から薬局へ処方箋をFAXしておくメリットは、主に「薬局での待ち時間を短くできる可能性がある」ことです。
ポイントをまとめると、
・薬局が来局前に処方内容を確認できる
・薬の在庫を確認できる場合がある
・調剤の準備を事前に進められる
・薬局での待ち時間短縮につながる
・子ども連れや忙しい人にも便利
・FAXしただけでは紙の処方箋の原本を提出したことにはならない
・紙の処方箋の場合は原本を薬局へ持参する
・電子処方箋では、引換番号などを事前に伝えることで調剤を開始できる場合がある
という点を覚えておきましょう。
「病院でFAXしておきますか?」と聞かれたら、薬局での待ち時間を短くしたい場合には便利な方法です。
ただし、FAX後の流れや受付方法は病院・薬局によって異なる場合があります。
分からないことがあれば、利用する薬局に確認してください。
また、薬の受け取りについては、医師・薬剤師の指示や薬局からの案内を優先しましょう。

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