薬のカプセルや添加物に動物由来成分は入っている?ハラル・ベジタリアンの方が確認するポイントを薬剤師が解説

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「この薬のカプセルは動物由来ですか?」

「ゼラチンが入っている薬は飲めません」

「イスラム教のため、ハラルに対応した薬なのか知りたい」

「ベジタリアンなので、動物由来の成分が入っていない薬を選びたい」

海外から日本に来ている方や、宗教・食生活上の理由から動物由来の原料を避けている方から、このような相談を受けることがあります。

薬には、有効成分だけではなく、錠剤やカプセルを作るための添加物が使われています。

そして、カプセルの「皮」の部分や添加物の中には、動物由来の原料が使われる場合があります。

一方で、薬の名前や見た目だけでは、動物由来かどうか判断できないこともあります。

この記事では、ハラル、ベジタリアン、ヴィーガンなどの理由で動物由来成分を避けたい方が、薬を選ぶときに何を確認すればよいのかを薬剤師がわかりやすく解説します。

まず知っておきたい「添加物」とは?

薬を見ると、

「有効成分」

という言葉が出てきます。

これは、薬として効果を発揮する成分のことです。

しかし、薬は有効成分だけで作られているわけではありません。

錠剤を固めたり、カプセルを作ったり、薬を安定させたり、飲みやすくしたりするために、さまざまな成分が使われています。

これらを添加剤(添加物)と呼びます。

PMDA(医薬品医療機器総合機構)も、医薬品添加剤には、薬の苦味や臭いを隠したり、安定性を高めたり、薬を一定の速度で放出させたりする役割があると説明しています。

つまり、

「薬の効果を出す成分ではないから、何が入っていても同じ」

というわけではありません。

カプセルの材料や錠剤を作るための添加剤にも注目する必要があります。

カプセルには「ゼラチン」が使われていることがあります

特に確認したいのが、カプセルの材料です。

医薬品のカプセルには、ゼラチンが使われているものがあります。

ゼラチンは動物由来の原料から作られるため、ハラルやベジタリアン、ヴィーガンなどの基準によっては確認が必要になります。

実際に、医薬品用のハードカプセルには、牛由来・豚由来・魚由来など、さまざまなゼラチンが使われています。

一方で、ヒプロメロース(HPMC)などを使った植物性のカプセルもあります。

例えばPMDAに掲載されている医薬品の中にも、カプセル本体にヒプロメロースを使用している製品があります。

そのため、

「カプセル=必ず動物由来」ではありません。

薬によって材料が異なります。

「ゼラチン」と書いてあったら何を確認すればいい?

ここが非常に重要です。

単に、

「ゼラチンが入っています」

という情報だけでは、ハラルかどうかを判断できない場合があります。

なぜなら、ゼラチンには原料となる動物の種類があるからです。

例えば、

  • 牛由来
  • 豚由来
  • 魚由来

などがあります。

さらに、ハラルの場合は、原料となる動物だけでなく、イスラム法上の処理や製造工程、認証なども確認が必要になる場合があります。

そのため、

「牛ゼラチンだから絶対にハラル」

と自己判断するのは避けたほうがよいでしょう。

宗教上の理由で厳密な基準がある場合は、製造販売会社に確認したり、ハラル認証の有無を確認したりすることが大切です。

ベジタリアンとヴィーガンでも条件が違います

「ベジタリアンだから動物由来成分は全部ダメ」

と考えがちですが、実際には食生活のスタイルによって考え方が異なります。

日本ベジタリアン協会では、ベジタリアンには複数のタイプがあり、乳製品や卵を食べる人もいる一方、ヴィーガンは動物由来の食品を避けると説明しています。

そのため、薬についても、

「ベジタリアンです」

だけでは、どこまで避けたいのか確認が必要になることがあります。

例えば、

ラクト・オボ・ベジタリアン

乳製品や卵は食べる一方、肉や魚などを避けるタイプです。

ヴィーガン

動物由来の食品を避けるため、動物由来ゼラチンなども避ける対象になります。

したがって、薬局では、

「動物由来成分をすべて避けたいです」

「豚由来だけ避けたいです」

「ゼラチンは避けたいです」

など、具体的に何を避けたいのか伝えることが大切です。

「ステアリン酸マグネシウム」も確認が必要?

薬の添加物としてよく見かけるものの一つに、

ステアリン酸マグネシウム

があります。

これは錠剤などを製造するときの滑沢剤として使われています。

「ステアリン酸」と書いてあるので、

「動物の脂から作られているのでは?」

と心配になる方もいるかもしれません。

実は、日本薬局方ではステアリン酸マグネシウムについて、植物または動物由来の固体混合脂肪酸から作られるものがあるとされています。

つまり、

「ステアリン酸マグネシウム」という名前だけでは、植物由来か動物由来か判断できない場合があります。

ここが、薬の添加物を確認するときの難しいところです。

厳密に動物由来を避ける必要がある場合は、メーカーに原料の由来を確認する必要があります。

「乳糖」は動物由来?

もう一つ、薬の添加物としてよく使われるのが乳糖水和物です。

乳糖は牛乳などに含まれる糖です。

例えば、ツムラの一部の一般用漢方薬でも、添加物として乳糖水和物が記載されています。

ここで注意したいのが、

乳糖が入っている=肉やゼラチンが入っている

という意味ではないことです。

ベジタリアンの中には乳製品を食べる方もいるため、乳糖を許容できるかどうかは、その方の食生活の基準によって変わります。

一方、ヴィーガンなどで乳由来の原料も避けたい場合には確認が必要です。

「カプセルだけ確認すればOK」ではありません

動物由来成分を避けたい場合、

「カプセルが植物性なら大丈夫」

と思ってしまうかもしれません。

しかし、確認するのはカプセルだけではありません。

例えば、

  • カプセル本体
  • 薬の中身
  • 結合剤
  • 滑沢剤
  • コーティング剤
  • 着色剤
  • 安定剤
  • その他の添加剤

などがあります。

実際の医薬品の添付文書を見ると、カプセル本体と内容物で異なる添加剤が使われている製品もあります。例えばアレセンサカプセルでは、内容物とカプセル本体について、それぞれ複数の添加剤が記載されています。

そのため、

「カプセルが植物性なら、その薬は完全に動物由来成分なし」

とまでは言えません。

薬の添加物はどこで調べられる?

では、実際に薬を調べるにはどうすればよいのでしょうか。

日本で医療用医薬品を調べる場合は、PMDAの医療用医薬品情報検索が役立ちます。

PMDAでは、医薬品の添付文書だけでなく、患者向医薬品ガイドやインタビューフォームなどを検索できます。

一般用医薬品についても、PMDAの検索サイトで添加物名を含めて検索できます。

ただし、ここで注意したいことがあります。

「添加物名がわかる」ことと「原料の由来がわかる」ことは別です

例えば、

「ステアリン酸マグネシウム」

と書いてあっても、

植物由来なのか、動物由来なのか

までは、添付文書だけではわからない場合があります。

また、

「ゼラチン」

と書いてあっても、製品によっては原料動物や製造工程まで確認しなければならない場合があります。

そのため、厳密な条件がある場合には、薬局からメーカーへ問い合わせてもらうのが確実です。

薬局ではどのように相談すればいい?

薬剤師に相談するときは、難しい説明をする必要はありません。

例えば、

「宗教上の理由で豚由来の成分を避けています」

「ハラルに対応している薬か確認したいです」

「ベジタリアンなので、動物由来の原料を避けたいです」

「ヴィーガンなので、ゼラチンや乳由来の成分も避けたいです」

などと伝えてください。

薬剤師が添付文書やメーカー資料などを確認し、必要であれば製造販売会社へ問い合わせることもできます。

薬剤師が確認するときのポイント

薬局で確認する場合は、次のような項目を確認します。

① カプセル本体の原料

まずは、

ゼラチンなのか、ヒプロメロースなどの植物由来素材なのか

を確認します。

② ゼラチンなら原料動物

ゼラチンの場合、

  • 牛
  • 豚
  • 魚
  • その他

など、原料について確認します。

③ 添加剤の由来

ステアリン酸マグネシウムなど、名前だけでは由来が判断できない添加剤について確認します。

④ 乳由来成分

乳糖などが含まれている場合は、乳由来成分を避ける必要があるか確認します。

⑤ ハラル認証などの有無

ハラルについて厳密な条件がある場合は、原料だけでなく認証や製造工程についてメーカーに確認します。

「ハラル対応」と「動物由来成分なし」は同じではありません

ここも非常に重要です。

例えば、動物由来成分が含まれていても、条件を満たしてハラルとして認められる場合があります。

反対に、

「動物由来成分がない=必ずハラル認証済み」

というわけでもありません。

また、魚由来ゼラチンは動物由来ですが、ベジタリアンやヴィーガンの基準では避ける対象になる一方、ハラルでは別の判断になります。

つまり、

ハラル・ベジタリアン・ヴィーガンは、それぞれ別の基準で考える必要があります。

「動物由来成分がない薬を探している」のか、「ハラル認証された薬を探している」のかによって、確認する内容も変わります。

「植物性カプセル」なら安心?

最近では、植物由来のカプセルもあります。

代表的な素材の一つがヒプロメロース(HPMC)です。

実際に、医薬品用カプセルにもヒプロメロースを使用した製品があります。

また、カプセルメーカーでも、動物由来ゼラチンの代わりに植物性のヒプロメロースを使用したカプセルが製造されています。中にはハラルやベジタリアンなどの認証に対応したカプセルもあります。

ただし、

「植物性カプセル=その薬全体がヴィーガン・ハラル対応」

とは限りません。

カプセル以外の添加剤や製造工程まで確認する必要があります。

自分で薬を変更するのはやめましょう

「このカプセルにはゼラチンが入っているから、カプセルを開けて中身だけ飲もう」

と考える方もいるかもしれません。

しかし、これは自己判断で行わないでください。

カプセルは、単に薬を包んでいるだけではなく、薬の安定性や溶け方などに関係している場合があります。

薬によってはカプセルを開けることで、本来の薬の働き方に影響する可能性があります。

また、粉砕やカプセルを開けてはいけない薬もあります。

動物由来成分が気になる場合は、薬を勝手に加工するのではなく、医師や薬剤師に相談してください。

「薬を変えられますか?」と相談しても大丈夫

どうしても原料の条件を満たせない薬の場合、

「薬を変更できませんか?」

と医師に相談できる場合があります。

同じような効果を目的として使用される薬でも、製品によってカプセルや添加剤が異なることがあります。

ただし、薬の変更ができるかどうかは病気や治療内容によって異なります。

自己判断で中止するのではなく、まず医師や薬剤師に相談しましょう。

外国人患者さんには「宗教・食生活上の制限」を最初に確認するとスムーズ

薬局で外国人患者さんに対応するときは、薬を渡す前に、

「食べられないものや、宗教上避けている成分はありますか?」

と確認できると安心です。

例えば、

  • Halal(ハラル)
  • Vegetarian(ベジタリアン)
  • Vegan(ヴィーガン)
  • Pork-free(豚由来を避ける)
  • Animal-derived ingredientsを避ける

など、本人がどのような基準を持っているのかを確認します。

単に「外国人だからハラル」という考え方ではなく、本人が何を避けたいのかを確認することが大切です。

まとめ|薬のカプセルや添加物が気になるときは薬剤師に相談しよう

薬には、有効成分だけではなく、カプセルや錠剤を作るためのさまざまな添加剤が使われています。

その中には、

  • ゼラチン
  • 乳糖
  • ステアリン酸マグネシウム

など、原料の由来について確認が必要になるものがあります。

特にカプセルでは、ゼラチンが使われている製品があります。一方で、ヒプロメロースなどを使った植物性カプセルもあります。

また、ステアリン酸マグネシウムのように、添加剤の名前だけでは植物由来か動物由来か判断できないものもあります。

そのため、

「この薬はハラルですか?」

「動物由来成分は入っていますか?」

という質問に対して、薬の名前だけで判断するのは難しい場合があります。

PMDAの添付文書などで添加剤を確認したうえで、必要に応じて製造販売会社へ原料や製造工程を問い合わせることが大切です。

そして何より、

薬を自己判断で中止したり、カプセルを開けたり、別の薬に変更したりしないでください。

宗教上・食生活上の理由で避けたい成分がある場合は、「何を避けたいのか」を医師や薬剤師に伝えてください。

薬剤師が一緒に確認し、可能な範囲でその方に合った薬を探すことができます。

薬局で伝えるときの一言

「宗教上の理由で、豚由来の成分を避けています」

「ハラル対応か確認してください」

「動物由来の原料を避けています」

「ヴィーガンなので、ゼラチンや乳由来成分も避けたいです」

このように具体的に伝えてもらえると、薬剤師も確認しやすくなります。

「薬だから仕方ない」と我慢するのではなく、気になることは遠慮なく薬剤師に相談してください。

この記事を書いた人
らび

はじめまして!薬剤師の「らび」です。

病院で3年間の勤務を経て、現在は調剤薬局で働く6年目の薬剤師です。

ちょっとした不調、薬の選び方に迷ったときに、ふと思い出してもらえるような、頼れるブログを目指しています!

どうぞよろしくお願いします!

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