「薬を飲んだ直後に吐いてしまった……」
「薬も一緒に出てきたような気がするけど、もう一度飲んだほうがいい?」
子どもが薬を飲んだ後に吐いてしまったときや、自分が体調不良で薬を吐き出してしまったとき、どうすればいいのか迷いますよね。
特に困るのが、
「もう1回飲んだら飲みすぎにならない?」
「そのまま次の薬まで待っていいの?」
という判断です。
実は、薬を飲んだ後に吐いた場合の対応は、すべての薬で同じではありません。
吐くまでの時間や薬の種類、吐き出した薬が確認できるかなどによって対応が変わります。
今回は、薬を飲んだ後に吐いてしまった場合の考え方を、薬剤師が分かりやすく解説します。
薬を飲んだ後に吐いたら、もう一度飲む?
結論からいうと、自己判断ですぐにもう一度飲むのは避けましょう。
なぜなら、吐いたタイミングによっては、すでに薬の一部が体に吸収されている可能性があるからです。
例えば、薬を飲んですぐに吐いた場合と、数時間たってから吐いた場合では、薬が体に取り込まれている量が違う可能性があります。
そのため、
「吐いたから全部出てしまった」
とは限りません。
一方で、飲んですぐに薬そのものを吐き出してしまった場合は、薬を十分に飲めていない可能性もあります。
つまり、
「吐いた=必ず飲み直す」でも、「吐いた=絶対に飲み直さない」でもありません。
薬ごとの指示を確認することが大切です。
まず確認したい3つのポイント
薬を飲んだ後に吐いてしまったら、次の3つを確認しましょう。
① 薬を飲んでから何分・何時間たっていたか
これが重要な判断材料になります。
例えば、
「飲んですぐ吐いた」
のか、
「1時間くらいたってから吐いた」
のかでは状況が違います。
可能であれば、薬を飲んだ時間を確認しておきましょう。
② 薬そのものが吐き出されたか
吐いたものの中に、錠剤やカプセル、粉薬などが見えている場合もあります。
ただし、見えていないからといって「全部吸収された」と判断できるわけではありません。
反対に、薬が見えている場合でも、どの程度の量が残っているかを正確に判断するのは難しいものです。
③ どの薬を飲んだのか
薬によって、吐いた場合の対応が異なることがあります。
特定の薬では、服用後の嘔吐について「○分以内なら再服用」など、個別の指示が設定されています。
そのため、薬の名前が分かるように薬袋やお薬手帳を用意して、薬剤師や医師に相談すると安心です。
「30分以内ならもう一度飲む」は本当?
インターネットなどで、
「30分以内に吐いたらもう一度飲む」
という説明を見かけることがあります。
しかし、これはすべての薬に当てはまるルールではありません。
実際、PMDAが公開している患者向け資料の中には、ある薬について「服用から30分以内なら1回分をもう一度服用し、30分以上なら再度服用せず次回にする」という具体的な指示があります。
一方、別の薬では、服用直後に嘔吐した場合でも「その日は服用せず、翌日から通常の量を服用する」といった異なる指示があります。
つまり、
「30分」という時間だけで判断するのではなく、その薬の指示を確認することが大切です。
子どもが薬を飲んですぐ吐いた場合は?
子どもの場合は、特に判断に迷いますよね。
例えば、
「粉薬を飲ませた直後に全部吐いたように見える」
「シロップを飲んですぐ吐いた」
というケースです。
この場合も、自己判断ですぐに追加で飲ませるのではなく、まず薬を飲んでから吐くまでの時間を確認しましょう。
そして、薬袋やお薬手帳を準備して、処方された薬局や医療機関へ相談するのがおすすめです。
特に子どもは、体重に合わせて薬の量が決められていることがあります。
「少ししか飲めていないから、半分だけ追加しよう」
といった調整を自己判断でするのは避けましょう。
吐いた薬が見えたら、もう一度飲む?
ここもよくある疑問です。
吐いたものの中に錠剤やカプセルが見えると、
「薬がそのまま出てきたから、もう一度飲んだほうがいい」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、薬が見えているからといって、必ずしも「薬の効果がゼロ」とは判断できません。
薬によっては、外側が残っていても中の成分がすでに溶け出している場合があります。
逆に、飲んですぐにそのまま吐き出している場合には、十分に服用できていない可能性があります。
そのため、薬の名前と服用時間を伝えて、薬剤師に確認するのが安心です。
1時間後に吐いた場合は?
「薬を飲んでから1時間くらいたって吐いた」という場合も、薬によって対応が異なります。
すでに薬が吸収されている可能性もあるため、
「吐いたからもう1回」
と追加で飲むと、結果的に必要以上の量を飲んでしまう可能性があります。
特に、薬によっては過量に飲むことで副作用や中毒症状につながることがあります。PMDAも、決められた量より多く飲んだからといって効果が高まるわけではなく、過量服用によって副作用などが起こる可能性があると案内しています。
迷ったときは、追加服用する前に確認しましょう。
吐いてしまったからといって、2回分まとめて飲まない
これは非常に大切です。
例えば、
「前の薬を吐いたから、次の時間に2回分飲もう」
というのは避けてください。
薬によっては、2回分をまとめて飲むことで副作用のリスクが高くなる場合があります。
PMDAが公開している薬の患者向け資料でも、嘔吐や飲み忘れへの対応として「2回分を一度に服用しない」よう案内されているものがあります。
飲めなかった分を自己判断で取り戻そうとしない
ことが大切です。
吐き気や嘔吐が続いている場合は?
薬を飲んだ後に1回吐いただけではなく、
・何度も吐いている
・水分も飲めない
・薬を飲むたびに吐いてしまう
・強い腹痛がある
・意識がぼんやりしている
・呼吸が苦しい
・血が混じったものを吐いた
などの場合は、薬をどうするかだけでなく、嘔吐の原因そのものへの対応が必要になる場合があります。
特に水分も取れない状態が続く場合は、脱水にも注意が必要です。
症状が強い場合や心配な場合は、医療機関へ相談しましょう。
薬を吐いたときは「薬の名前」を確認しよう
薬を飲んだ後に吐いてしまった場合、薬の名前が分かると相談がスムーズです。
例えば、
「白い錠剤を飲みました」
よりも、
「○○という薬を朝食後に飲んで、20分後に吐きました」
と伝えられたほうが、薬剤師も状況を確認しやすくなります。
薬袋、お薬手帳、処方箋の控えなどがあれば手元に用意しましょう。
こんなときは薬剤師に電話で確認
次のような場合は、追加で薬を飲む前に薬剤師へ相談するのがおすすめです。
・飲んですぐ吐いた
・薬が吐いたものに混ざっていた
・薬を飲んでからどのくらいたったか分からない
・複数の薬を飲んでいる
・子どもの薬を吐いてしまった
・重要な薬を吐いてしまった
・次の服用時間が近い
・追加で飲むべきか判断できない
薬局が閉まっている場合などは、薬の種類や状況によって相談先が変わります。
処方された医療機関などに確認しましょう。
薬を飲んだ後に吐いたときの対応まとめ
迷ったときは、次のように考えると分かりやすいです。
【STEP1】
薬を飲んだ時間を確認する。
↓
【STEP2】
吐いた時間を確認する。
↓
【STEP3】
薬の名前を確認する。
↓
【STEP4】
薬袋・お薬手帳などを準備する。
↓
【STEP5】
自己判断で追加せず、必要に応じて薬剤師・医師へ相談する。
よくある質問
Q. 薬を飲んですぐ吐きました。もう一度飲んでいい?
薬によって対応が異なります。
飲んですぐの場合は薬が十分に吸収されていない可能性がありますが、すべての薬で再服用してよいわけではありません。
薬の名前と吐いたまでの時間を確認し、薬剤師や医師に相談してください。
Q. 薬を飲んで1時間後に吐きました。もう一度飲む?
自己判断で追加するのは避けましょう。
すでに薬が吸収されている可能性があるためです。
薬によって対応が異なるので、薬剤師へ確認してください。
Q. 子どもが粉薬を飲んですぐ吐きました
すぐに追加で飲ませるのではなく、まず薬を飲んでから吐くまでの時間を確認しましょう。
子どもの薬は体重などに合わせて量が決められている場合があるため、薬局や医療機関に相談するのがおすすめです。
Q. 吐いた薬がそのまま出てきました
薬が見えていても、自己判断で追加服用するのは避けましょう。
薬の種類によっては、すでに一部が吸収されている可能性があります。
まとめ
薬を飲んだ後に吐いてしまうと、
「薬も全部出てしまったのでは?」
と心配になります。
しかし、吐いたからといって、必ずしも薬の成分がすべて体の外に出たとは限りません。
大切なのは、
・薬を飲んでから吐くまでの時間を確認する
・薬の名前を確認する
・吐いた薬が見えていても自己判断で追加しない
・「30分以内なら必ず飲み直す」と一律に考えない
・2回分をまとめて飲まない
・子どもの薬は特に自己判断で量を調整しない
・迷ったら薬剤師や医師に確認する
ことです。
特に、薬によっては「服用から30分以内なら再服用」といった個別の指示がある一方、別の薬では異なる対応が指定されていることがあります。
「もう一度飲んだほうがいいのかな?」と迷ったときは、薬の名前と飲んだ時間を伝えて薬剤師に相談すると安心です。
薬の服用方法については、医師・薬剤師から受けた指示や薬袋・説明書の内容を優先してください。

コメント